第7章 終幕
燃える、燃える。
全てを燃やすのは紅蓮の炎か。
それとも。
第47夜~冷たいものは怖いよ、君を思い出す~
カツン、カツン。
静かな廊下に靴音が響き渡る。
それは当り前のようで酷く可笑しな音だった。
「――貴方はどなた?」
北条政子が問う。
いや、正確には茶吉尼天であった。
「全ての元凶はお前なのか?」
その男は質問に答えることなく、静かに問う。
「お前は何者だ?」
彼女にはまだ力がなかった。
それを理解しているのか、男は怯むことなく近くに寄る。
「俺は全ての元凶が生まれた場所へ行けるように願った。そしてお前の元に飛ばされた。」
「未来から来たのか?」
饒舌に語る男の目は紫色をしていた。
「さぁ、な。ここが過去なのか未来なのかなど俺にはどうでも良い。」
「戯言を!」
ピリピリと張りつめた空気が漂った。
けれど目の前の男はそれさえも楽しんでいるように見える。
「お前に私怨はないがな。俺の為に死んで貰うぞ。」
「やめろぉぉぉ!」
ザシュッ、
静かな音だった。
「最後にお前の名を聞いて置こう。」
「――誰が名乗るか。」
そして、名も無き神は殺された。