第3章 因果
「――で?本当に望美は、来るんでしょうねぇ?」
下鴨神社に来て、有に2時間は経ったと思われた。
「多分な。」
哀しいくらいに桜が舞っている中、亜弥と将臣はひたすら待った。
「――将臣くん?!」
待ち疲れた二人の耳に、心地良い声が聞こえる。
「望美!」
「本当に会えたね、将臣くん!――亜弥ちゃん?!」
望美は将臣に笑い掛けながら、横の亜弥に目を見開く。
「久し振り、望美。元気だった?」
「亜弥ちゃん!本当に亜弥ちゃんなの?!」
望美は亜弥にしがみ付くと、彼女の顔を良く見ようと覗き込む。
「うん。本当に私よ。望美も。元気そうで良かった!」
「亜弥姉!本当に、亜弥姉なのか?!」
望美の後ろから、譲も身を乗り出して来る。
「譲。譲も無事だったのね、良かったわ。」
二人を諭す亜弥は、6年の歳月を感じさせた。
けれどそれを知らない二人は、亜弥の感じが変わった事に気付く。
「――亜弥ちゃん?何か大人っぽくなった?」
「うん。だって私がこの世界に来て、6年になるもの。」
「6年?!」
二人が驚く中、後ろに控えていた八葉達が割り込んで来る。
第19夜~鋭利な感情が融けていく~
「望美!知り合いなのか?」
「九郎さん!皆も!幼馴染の亜弥ちゃんと、将臣くんよ!」
望美に紹介され、亜弥と将臣は笑顔で挨拶をする。
その中に、亜弥は見知った顔を見付けた。
「――?!」
亜弥の瞳に飛び込んで来たのは、かつて平家で薬師として働いていた弁慶がいた。
そして熊野水軍の頭領・藤原湛増こと、ヒノエがいた。
目を見開く3人に、望美がのほほんと問う。
「亜弥ちゃん?どうしたの?」
「え?あ、うん。何でも無いわ。皆さん、よろしくね!」
そう言って笑う亜弥の顔に、皆好意を覚えた。
将臣はと言うと、すぐに皆と打ち解けていた。