第3章 因果
翌日。
将臣は亜弥を伴って、京へと旅立った。
知盛は二人の子供を抱え、亜弥を見送った。
道中特に問題も起こらず、二人は無事後白河院と対面を果たした。
「――くぁ~。疲れたぁ。」
後白河院と別れ、宿に戻った将臣は思い切り寝転がる。
「ふふ。将臣ってば。お疲れ様。」
亜弥は将臣に微笑むと、お茶を差し出してやる。
「サンキュ。つ~か、悪かったな。無理に付き合せちまってよ。」
「いいのよ。最も知盛様は、お嫌だったみたいだけど。」
夫の顔を思い出しながら、亜弥がくすりと笑う。
「まぁな。帰ったら、しごかれそうだぜ。」
将臣の言葉に、亜弥も同意する様に笑う。
「頑張ってね。」
「――なぁ、亜弥。」
ふと真面目な声で問う将臣に、亜弥はきょとんとさせる。
「なぁに?」
「お前さ、何で知盛と結婚したんだ?」
その問いに、亜弥は睫を伏せた。
「――どうして、そんな事聞くの?」
「だって――。俺達、まだ高校生だったろ?――当時は。」
その言葉に亜弥は頷くだけで、答えはしなかった。
翌朝。
亜弥は将臣の声で、目を覚ました。
第18夜~薄花桜に囚われたままの愛と哀と藍と~
「おい!亜弥!起きろって!」
「ん?将臣?なぁに――?」
まだ朝早いのにテンションが高い将臣に、亜弥は不思議に思う。
「望美に会いに行くぞ!」
「――望美に?」
将臣の突拍子も無い発言に、亜弥はただただ目を丸くするだけだった。
一刻後、準備を整えた二人は宿を後にした。
将臣の話では、昨夜夢の中で望美と『約束』をしたのだと言う。
夢の中で望美は譲と共に、京にいるのだと言う。
だから、彼らは約束した。
『下鴨神社』で、会おうと。
それを信じて、亜弥と将臣は下鴨神社へと向かった。