第1章 めりぃ・くりすます【うちはサスケ】
そんな彼女とは、お互い任務のない日は、だいたいのんびり家で過ごすことにしている。
今日もオレの部屋でくつろいでいると、隣に腰掛けていた夢美がこう切り出してきた。
「サスケくん、今日何の日かしってる?」
またか、と思いつつ夢美を見ると、目をキラキラさせている。
これはちゃんと答えないとさすがに怒るかもしれない、と記憶を辿ろうとしたが
「あのね、異国の地ではクリスマスっていう大きいイベントの日なんだって!」
と、オレが口を開く前に夢美が興奮気味にそう答えた。
早く言いたくて仕方がなかったようだ。
「家や店、木なんかに電飾飾って…いるみねーしょんっていうみたいなんだけど、街全体が煌びやかになるんですって。モミの木に飾り付けして、歌を歌って…すごいご馳走食べたり、知らないおじいさんが子供達にプレゼントを配ったりするらしいわよ!
今日の依頼人から聞いたんだけど、楽しそうよね!私もクリスマスのイベントやってみたいわ。サスケもそう思わない?」
子供のようにはしゃいでいる夢美を見て、可愛いなと素直に思う。
そんな彼女を見ていたら、ちょっとした悪戯心が働いた。
「…あぁ、クリスマスか。それなら文献で読んだことがあるな」
「本当?!すごいサスケ、異国のことまで知ってるなんてさすが博識!ねぇねぇ、他にどんなことするの?クリスマスって」
ほら食い付いた。
夢美は祭りとか楽しいことが大好きだからな。
「そうだな……クリスマスは神を信仰する者達が考えた行事で、家族や恋人、友人への感謝の気持ちを神に伝えて今後の関係もうまくいくよう祈願する祭りらしい」
なんて、全然聞いたこともないクリスマスとやらについて適当なことを言ってみたのだが、夢美は真剣な眼差しでオレを見つめて頷いている。
「あと…恋人は二人の仲を神に報告して永遠の愛を誓う為、祭りの日に身体を繋げるのが通例、と記されていたな」
「……え?!そ、そ、そうなの?」
顔を赤くして急に動揺し出した夢美。
…これはいけるな。
「…あぁ。せっかくだから楽しもうぜ。クリスマスを…」
不敵に笑って、彼女の唇にそっとキスを落とす。
神様なんて信じちゃいないが、クリスマスとやらに便乗させてもらおう。