第8章 「発動」
その音を聞いて、今まで怒鳴っていた太輔が急に裕太に抱きつきキスをした。
一瞬の出来事で、酔ってる裕太には何が起こったのか理解できないでいる。
部屋に入ってきたのは
怒って帰った太輔を心配して追いかけてきた宏光だった。
宏光もまた、目の前の光景が理解できずに、立ち尽くしてしまう。
「たい……すけ?」
その言葉を聞いて太輔は裕太から離れた
「裕太、宏光の顔見てみろよ、こらが悲しい顔って言うんだよ」
「………」
「太輔……何してんだよ……何これ?」
目線が左右に振れて明らかに動揺している
「お、おれ、帰ります」
裕太は居た堪れないようにそう言って、宏光の横を通り過ぎて帰っていった
宏光は裕太に目もくれず、太輔に詰め寄る
「なー、太輔。どういう事」
「うるっせーなー!!女みてーにやきもちかよ?」
女とは山ほどあったけど、男とは一度もなかった……
しかも、相手が裕太だったことに動揺して今までにないくらい取り乱した
「どーして裕太なの?……やっぱり気に入ってたの?なー、太輔」
「うるせーって言ってんだろ、キスくらいでがたがた言うなよ!ムカついただけだよ
「意味わかんねーよ……」
解ったように説教しやがって……
不安げに見つめてる宏光の顔を見てふと我に返った。
立ち尽くしている宏光の所にいき抱きしめた
「やだよ、裕太にあんな……やめてくれよ」
「解ったよ、もうしないよ。ごめん」