第8章 「発動」
そのまま帰ろうとした太輔の後を追いかけていく裕太
「太輔さん。本当にすいませんでした、すいません」
太輔はしかとして店を出るがそれでも後を着いて来る
タクシーを停め、乗り込んだとき
「太輔さん、すいません」
「おまえ、どこまで着いてくんだよっ!!店にもどれよ」
「いや、許してもらえるまで戻りません」
「ふざけんな!!戻れよっ」
「戻りません」
「ちっ!勝手にしろ」
バタンとタクシーの扉が閉まって、酔ってる裕太はそのまま太輔の家まで着いていってしまった
「おまえ、マジでふざけんなよ。なに家まで来てんだよ。酔っ払いやがって店に帰れよ」
玄関の鍵を開けながら怒鳴った
「太輔さん、今日は本当にすみませんでした」
「もう、うるせーな。何回謝ってんだよ。わかったから帰れよ」
「許してもらえますか?」
太輔の後を追って、リビングまで上がり込んだ。
「あー、めんどくせーんだよっ!!許すから帰れ」
冷蔵庫からビールを取り出してグビグビと飲み始める
「本当ですか?・・・…じゃあ、許してもらったついでに、言ってもいいですか」
「はぁ?なんだよ。頼むから早く言って帰ってくれよ」
「宏光くんのことなんですけど」
「みつ?」
「もう少し、優しくしてもらえませんか?つか・・・・・・客と寝るの止められないんですか」
「調子に乗ってんじゃねーぞ。ちょっと売れてきたからって俺に説教か?このやろー」
「そんなんじゃないです。宏光くん、太輔さんが客とアフター行くといつも悲しそうにしてるんですよ。なんか、可哀想で・・・・・・太輔さんならセックスなんかしなくたって」
「それ以上言ったら、殺すぞっ。正義の味方気取りか?てめー、みつが可哀想だ?わかったような口きくじゃねーかよ」
その時、玄関の鍵を開ける音が聞こえた