第8章 「発動」
ある日。裕太が酔って太輔の客の席でミスをした。
「けいこさん。今日は本当に申し訳ありませんでした。不愉快な思いさせちゃって。この埋め合わせはさせてもらいますから」
客に深々と頭を下げて謝罪する太輔
「今回は太輔の顔に免じて帰ってあげるけど、次に来た時はちゃんと埋め合わせしてよ」
「はい!!わかってます。ありがとうございました」
太輔が謝りにくるまで手がつけられないほど怒っていた客がやっとおさまって帰っていった
客の乗った車が見えなくなるのを確認してから店に戻った。
「おいっ!!裕太は!!」
「え・・・・・・。こ、更衣室にいると思いますけど」
「裕太っ!!」
凄い剣幕で更衣室の扉を開けた
部屋の中では横尾に説教されてる酔っ払った裕太がいすに座っていた
「てめー!!俺の客に何してくれてんだよ!!酔っ払ってんじゃねーぞ!!」
今にも掴みかかりそうな太輔に横尾が割って入った
「ちょっ、ちょっ。落ち着こうよ太輔。気持ちはわかるけどさ。こいつ酔ってるし」
太輔は盛大に舌打ちをした
「よりによってけいこさんにあんなことしやがって。めんどくせー客なのに」
ロッカーを蹴り飛ばす音が部屋に響く
「すいませんでした」
立ち上がり頭を下げてるが、酔ってフラフラでいまにも転びそうになっている
「すいませんじゃすまねーんだよ」
おさまりの着かない太輔は、裕太の横にある椅子をけり倒した
「マネージャー。今日はもう、帰るわ」
「え?そ、そう?わかった、今日は早退していいよ。おつかれ」