第7章 「序章」
~太輔の家~
「ねぇ、太輔。なんでアフター行かなくなってから裕太人気出たの?すっげー不思議なんだけど?」
「ん?わかんないの?アフターに行くとお腹一杯になるんだよ」
「へっ?」
「だからー、店だけだと腹八分目だけど、アフター行ったら満足するだろ。月に1回しか来ない客がアフターに連れ出せないと、物足りなくて、また会いにくる。だから月2回に増える。月2回の客は4回。そうやって焦らされて会いたくなって来ちゃうもんなんだよ。それに、アフター行けばそこでも金使うじゃん?金も節約してその分を店に来て今度こそ連れ出そうとまた、金を使う。そう言う流れ」
「へー、なるほどねー。さすが太輔!!でもさ?それで焦らされ過ぎて客離れちゃわない?」
「離れる客は離れる。アフター行かないなら指名切るって客もいるだろ?でも、そこで行ったら負けなんだよ。客はこっちが弱気になったら漬け込んで我がままになる。それをさせないでいかに引っ張るかだよ。客が離れても、月に1回しか来ない客が100人いれば指名も100回。月に何度も来る客はわがままになるから。人数増やして浅く付き合うほうが営業は楽なんだよ」
「すげー、そう言うことか?・・・・・・あっ!じゃあ、太輔もそうすればいいじゃん」
「うるせー、俺には俺のやり方があんだよ」
「そっか・・・・・・。でも、太輔、裕太にずいぶん優しくない?なんで?」
「お前。裕太嫌い?」
「ううん、いい奴だから好きだよ」
「だろ?お前が好きだからだよ」
そんな言葉を聞いて、宏光は嬉しくて仕方なかった。