第7章 「序章」
「で、裕太はどうすれば指名取れると思う?」
裕太の脳裏にはSEXの三文字が浮かんだ。
太輔がそういう営業をしてるってことは・・・・・・
「え?わかんないですよ。わかればやってますって」
「客と寝る」
やっぱりか
「のは止めとけ。アフターは一切すんな」
「え?アフター自体ですか?何でですか?」
「そっ、アフターも。つか、お前、寝るのが答えだと思っただろう?」
「それはちょっと、思いましたけど。でも寝るのはともかく、アフターしないと逆に客は離れちゃうんじゃないですか?」
「枕営業(客と寝る)なんて、お前には出来ないから止めとけ。俺のやってる営業はリスクがでかいんだよ。嘘だと思ったら兎に角アフター行くのやめろ。食事も飲みも一切なし。会うなら店だけ。同伴(客と店の前に会って一緒に店に入る)は別だけどな」
裕太は納得できないような顔をしている
「いいから、やってみ?必ず指名増えるから」
次の日から、その言葉通りやってみた。
と言うより、やらなきゃいけない空気だった。
そして、太輔のサポートもあって、めきめき指名が増えて。
二ヶ月後にはあっという間に三位にまでのし上がった。
「ねぇ、太輔。なに?珍しいじゃん新人可愛がるなんて」
更衣室でタバコを吸っていた太輔に横尾が話しかけてきた
「宏光にはあんなことしないのにさぁ。どうして裕太に指名取らせてんの?」
「ん?宏光はいいんだよ。裕太は素質あるし、宏光とも仲いいから」
「ふーん、そう?まあ、裕太が売れてくれるのは店としてもありがたいけどさー」