第5章 せんこう、がんこう【後編】
「あッ……や……ぁっ…!木兎さ……ん!」
「赤葦っ……!」
赤葦は思う。
こんなことをしないと自分は、木兎の想いにも自分の想いにも気付けなかったのかと。
だけど、今はハッキリ分かる。
――俺は、この人が好きだ。
「あっ……ぁッ…ん、ぁ…木兎さ、ん!」
「あ、かあし……!」
すき、すき。
だいすき。
赤葦。
「赤葦、好き。大好き」
「ーーーーッッ!!」
木兎の言葉に赤葦は顔を真っ赤に染めた。
この人のこの視線が、俺は好きだ。
優しく、鋭く、俺を貫くその視線が――大好きで。
愛しくて。