第5章 せんこう、がんこう【後編】
なんで…こんな……
――木兎さんに触れられたところが、じんじんと熱を持って、ヒリヒリする。
自覚していなかった想いが、赤葦の中にも芽生え始めてきていた。
いつでも“俺らの大エース”、“俺達の主将”だった木兎。でも、今の赤葦にはそんな事は考えられなかった。
もう、木兎のことは今まで通り見れない。
ただの先輩とは見れない。
……木兎さん。
俺は、貴方の事が―――……
「……ッッあ…!」
「今、別のこと考えてたろ」
木兎の指が赤葦の良いところを擦ったことで、彼はふと我に返る。
赤葦のそんな思考など知らない木兎は、自分のベルトに手をかけた。
「……大分慣れたな。入れるぞ」
「…え、ちょ……っ木兎さ」
同じく熱を持った自身のそれを、赤葦のにあてがう。すると、彼は顔を赤く染めた。