第5章 せんこう、がんこう【後編】
腰を大きく揺らして、赤葦は自分の腹部に自身の欲を吐き出す。
「はぁ……っ……はぁっ」
息を切らしながら見上げた先には、笑みを浮かべる木兎がいる。
何だかそれが、すごく嬉しくて――安心した。
汚れた腹部をティッシュで綺麗にすると、今度は赤葦が木兎のベルトに手をかける。
「木兎さんも……出した方が……」
そう言う赤葦に、木兎は「俺はいい」と首を横に振った。そして、その代わり…と言葉を紡ぐ。
「……入れていい?」
「は?!」
男同士で“そういうこと”をする時は、やはり『女側』にまわる人が必要なわけだが、赤葦には理解出来ない。
ただ、お互いに咥え合うだけだと思っていた。
「……いきなりそんな事言われても、俺……経験ないです」
女性相手に突っ込んだ経験も、ましてや男性に突っ込まれた経験もない。
――この状況を、どうしろと……