第5章 せんこう、がんこう【後編】
「好きだ。赤葦」
「へ…?」
鼓動が大きくなっていくのが分かる。その言葉を言った直後、赤葦はただ目を見開いているだけだった。
だが言葉を理解すると、顔を真っ赤に染める。
「な、なんでっ……今そん、な……事……っ!」
戸惑う彼が可愛すぎて、木兎はにんまりと笑う。
……好きだ。やっぱり、すげぇ好き。
「赤葦、もいっかい…していい?」
「な、なにをですか」
とぼけた様子の赤葦に、今度は優しく深いキスをする。「好きだ。好きだ」と、心で想いながら。
「ん、ふ……ぁ、んん……っ」
唇が離れると、木兎は赤葦の目を真っ直ぐに見る。その視線に、赤葦はまた背筋をぞくりと震わせた。
なんで、そんな目で見るんだ。
引き込まれてしまうじゃないか――…
赤葦がそんなことを思っていると、木兎は彼の制服のベルトに手をかけていた。