第4章 せんこう、がんこう【前編】
「マジか……これは、上手いことつれたわ……」
はは、っと木葉は気が抜けた笑いを零して、頭を抱える。
――確かに仲良過ぎるなぁとは思ってたけど、潜在的にそういう想いがあったとは。
だけど、木兎にその想いを自覚させたところで何になるのだろう。
試合に響いたりしないだろうか。いや、響かない訳がない。
……チーム内で末っ子な木兎の微妙な変化にも、多分赤葦ならすぐに気がつく。
それで、エースとセッターの間に壁を作ってしまっては元も子もない。そして何より、『主将』と『副主将』の間にも、壁は絶対に作ってはいけない。
木葉は、凄まじく頭をフル回転させて考えていた。だけど、男同士でしかもチーム内の問題となると、どうも解決策が見当たらない。
「どうすればいいんだか」
ぼそっと、そんな独り言が漏れてしまった。