第4章 せんこう、がんこう【前編】
「………へ?」
“好き”
――俺が?
赤葦を?
好き―――…?
そう思った途端、木兎の顔は瞬時に真っ赤に染まる。それを見た木葉は、驚きを隠せずにいた。
「え?!ガチ?!ほんとに惚れてんの?!」
思わず持っていたジュースを落としそうになる。自分から振っておいてなんだけど、木葉には想像以上の反応だった。
「………多分、そうだ。…………惚れてる……」
耳まで真っ赤になった木兎は、顔を手で覆いながら小さく呟く。
――赤葦の顔が忘れられない。
声も。
仕草も。
忘れられない。
寝る前に思い出す。
休み時間も。
校内で赤葦を見つければ、すぐ声をかける。
話してくれないと、寂しくて仕方がない。
これを好きと言わずになんというのか。