第4章 せんこう、がんこう【前編】
*
「……で、なんでいきなりあんなこと言い出したわけ?」
部活が終わり、木兎と木葉は2人、ファストフード店に入る。
部活終わりの男子高校生の胃袋は半端なく大きく、それを満たすとてつもない量のポテトやハンバーガーを頼み、それを積んだ2人分のトレイをテーブルに置いた。
そしてある程度食べ終わったところで、木葉が口を開いたのである。
「いや、俺も不思議だったんだけど…なんでか赤葦見てると、視界がぽわぁ〜ってして、すげぇ浮ついた気分になるっていうか」
ポテトを口に運びつつ、木兎は言う。ふーん、と相槌を打つ木葉は、「もしかしたら」という悪い予想を立てていた。
だが、そんなはずはない――と思いたい。
たしかに普段から仲は良いが、とてもそんな気持ちを抱くとは考えられないからである。
木葉は「まさかまさか…」と思いながら、木兎に投げかけることにした。
「それは、木兎が赤葦を好きだからじゃねーの?」