第4章 せんこう、がんこう【前編】
「ちげぇんだってこう!なんか!滲み出る!エロス!?」
身体全体で表現する木兎だが、それは他の2人や赤葦には全く理解されていない。当の赤葦は「何言ってんすかほんとに」と、やっと呆れる気が出てきたようで。
「馬鹿な事言ってんなよなー。ほら、練習行こうぜ!赤葦!」
「あ、はい」
猿杙に言われ、赤葦は一足先に体育館へ足を進める。だが彼も、木兎の事は心配していた。
……「練習に響かないといいけど」という点で。
猿杙と赤葦に乗っかるように、他の部員もぞろぞろと体育館に向かっていた。
部室には、木兎と木葉の2人だけが残り、木葉はしょぼくれた様子の木兎を軽く慰めている。
「あとで話聞くから、今は練習行こうぜ?な、」
「おう……さんきゅ」
ずび、っと鼻をすすり、木兎は自分のシューズやタオルなどを持って体育館へと足を進めた。