第4章 せんこう、がんこう【前編】
「赤葦ってエロいよな」
「「「は!!?」」」
ミーティングが終わり、部活が始まる時間まで暇をしていたバレー部数人に向かって、木兎光太郎が口を開いた。
そしてその対象である赤葦京治も、木兎の目の前におり、彼のその発言に呆れる事も出来ずにいた。
「なに言ってんすか。ついに頭おかしくなったんですか」
先輩にも容赦せず毒を吐く赤葦に木兎は「ひでぇ!」と涙目になる。
若干2年生にも関わらず梟谷バレー部の副主将・赤葦。
そんな彼のきつい言葉にたまに傷つき、奮起させられているのが、主将の木兎。
という、関係性なのだが。
「木兎、それはないわ。赤葦確かにかっこいいけど」
「だよな。フェロモン的なの感じるけど、エロくはないよな」
木兎と同い年でレギュラーの木葉、そして猿杙は口々にそう言う。
木兎と同じ期間赤葦を見てきた彼らがそう言うが、どうしても木兎は納得がいかない様子だった。