第5章 ☆徳川家康☆ ~やきもち~ /完結
『綾?』
そう言って声をかけ中に入るとそこにはまた新しい羽織を縫っている綾が針を持ったまま寝ていた。
―危ないな…
俺は少し焦って後ろから抱き締めるようにして縫いかけの着物と針を手から離した。
よほど疲れているのだろう。
俺に後ろから抱えられているのに起きる気配がない。
すっぽりと俺の腕に収まってしまう綾は小さくて本当に可愛い。
しばらくその体勢のまま、安土にいる間独り占めできなかったモヤモヤを鎮め幸せにひたる。
そろそろ起こして寝所に連れていこうと思いそっと口づけしようとした時…。
『やだ…三成くんたら…』