第1章 ☆徳川家康☆ ~幸福な道~ /連載中
『・・・っく、ぐすっ・・・』
『いつまで 泣いてんの。ほら立って』
俺は小さくため息をついて綾の手をつかむ。
-細くて折れそうだ
まだ泣きやむ気配のない綾を一瞥し泥を払ってやる。
『・・・ぐすっ。ごめんなさい・・・っつ』
『あんた、逃げたの?』
『ご、ごめんなさい・・・』
サ――――
雨脚が一層強くなり俺は屋敷へと体を翻し歩きだした。
-へえ、ついてくるんだ
織田の領地へ入り、城下町を歩きながら綾が後ろからついてくるのを確認する
いつのまにか俺のとなりをあるく綾。
なんとなく視線を感じてちらりと隣を見やる。
雨なのか涙なのか長いまつげについた雫がきらきらしていた。
一瞬ではあったがその横顔があまりにも美しくて不覚にも見入ってしまった。
-何かむかつく