第1章 ☆徳川家康☆ ~幸福な道~ /連載中
信長様の御前には秀吉さん、政宗さん、三成、俺。
そして、少し落ち着きを取り戻した綾が小さくなって座っている。
『家康、何があった。報告せよ』
俺は俺が見たままを報告し、かしこまって頭を下げた。
『で?貴様は逃げ出しどこへ行くつもりだったのだ?』
叱るでもなく、諭すでもなくどちらかといえば愉快といった風情で信長様がたずねる。
小さく肩を震わせ綾の目がまた潤いだした。
『申し訳ありません・・・ただ囮になるのが怖くて・・・いてもたってもいられなくて・・』
『貴様とともに囮になるのは誰だ』
『信長様です』
『貴様はこの俺がお前を守ることができないほどうつけであるというのだな』
『・・・・』
綾は黙って首をふる。
『信長様。それくらいで・・・』
秀吉さんが助け舟をだす。