第1章 ☆徳川家康☆ ~幸福な道~ /連載中
ーグスっ
頬に冷たいものが伝い…人の気配がした
行灯の灯りを背に、心配そうに涙ぐんでいる綾と目が合う。
『家康さん!! 気がつきましたか?皆…心配してたんですよ!!
ちょっと待ってくださいね、お医者様
を呼んできますから…皆にも伝えてきます』
そう言って、バタバタと出ていく綾を目で追う。
身体が鉛のように重い。
―手を動かそうにも無理そうだな
肋骨も…やられている
綾の慌てようからも自身が生死をさ迷っていたのがよくわかった…
―くそっ!!
―俺は…まだ こんなにも弱い
こんな屈辱…
泣いて震えていた、人質時代の事を思いだし今も尚 弱い自分を目の当たりにして心の底から怒りが沸いた…。