第3章 売られた喧嘩は買う主義なの!
『………うっ』
十「あ!あや子目覚めた!?」
一「…大丈夫なの?変な薬でも打たれた?」
酷いめまいから目を開けると、一兄と十兄がいた。二人ともボロボロ。まわりには結構な人数の奴らがいるし、倒される度にニヤニヤしながら建物の中から人が補充されている。
『い、一兄。十兄』
これは明らかに負け戦だ。
「あはは!だから言ったのにさー。」
後ろは壁。つまりは逃げられない。
『……私も…』
……立てない。
「無理無理。君は今薬でまともに動けないよー。でも大丈夫。君には怪我はさせないよー」
私がスタンガンで気絶させられた時に、何かされたようだ。部屋から出た後、めまいを覚えて倒れたのを覚えている。
『……一兄。十兄……』
一「……あや子はそこにいて。大丈夫だから。」
体中傷だらけの一兄。
十「うん!大丈夫大丈夫!」
十兄は頭から血が出ている。どう見ても大丈夫ではない。
『…………十兄、一兄連れて逃げて!十兄の足なら…』
一・十「「だめだ!」」
『………っ。私は薬で動けない!だったら二人だけでも…』
一「…妹を残して俺らだけで逃げたってなったら、まず兄さんたちに殺されるよ」
十「うん!僕らお兄さんだもん!」
「へー愛しき兄妹愛だねぇー。じゃあ、そろそろパーティも終盤に入ろうかなぁ。その後のお楽しみもあることだしね。」
建物から出てきた男達は一兄たちの何倍も大きい。
『一兄…十兄…お願い逃げて……』
私がミスを犯したんだからそれの尻を拭うのは私1人でいい。だから……
「ちげぇな。下のもんのミスは上の俺らが拭うべきだ。そうだろ?」