第3章 売られた喧嘩は買う主義なの!
行進が終わり、競技がどんどん進んでいく。
『……っ……』
…………そろそろ立ってるの辛くなってきたな。
カラ「…………あや子、ちょっと端へ行くか?」
カラ兄は結構そういうことに気づくタイプだ。今朝の電車だって十兄がしなかったら、カラ兄が座らせてくれていただろうし。今回も結構私がきつくないようにしてくれてて、おかげで色々な競技を見ることが出来た。
『……大丈夫。ちょっとトイレ行ってくる。チョロ兄、これトト子ちゃんの手土産だから気をつけて持って。』
トト子ちゃんの出番が終わってから渡そうと思っていた手作りクッキーをチョロ松兄さんに預ける。
カラ「大丈夫か?俺も一緒に…」
『平気。もうすぐトト子ちゃんの出番始まるでしょ?』
私は人ごみをくぐってトイレへと向かった。
───
『ふぅ。』
鎮痛剤は飲んだからもう大丈夫。そろそろ戻らないとカラ兄心配して来ちゃうよ。ほんと過保護なお兄ちゃんだ。
『………まっ、そんな兄に甘えちゃう私も私か。』
一兄からブラコンっていわれるのも満更悪い気はしなかったり……。
そう思いながら歩いていくと、
「……………………やっ…………」
女の人の声が聞こえた。どうやら校舎裏からのようだ。
「やめて!」
「いいじゃん。俺と遊ぼーよーおねぇさん。」
………………んとまぁ、姑息な手を使う奴でしょう。女性をこんか人気のないところへ引っ張り込むなんて…
『……んじゃ、私と遊ぼーよ。おにーさん』
「は?……ぐっ!?」
私は落ちていた木材で頭を叩いた。男は倒れ、女の人は驚愕した顔で私を見た。
『大丈夫ですか?はやくここから立ち去りましょう。』
いつ仲間がやってくるかも分からない。
「は、はい!!」
そして女の人を連れて校舎裏から出ようとした。…だけど
「あっれぇー?可愛いコがこんな所にいたら危ないよー?」
…………やっぱりきたか。だけど、男達が来た方向は運がいいことに逃げる方向と逆の方。私は女の人を連れて走り出した。人ごみさえ逃げれば私たちの勝ち………
バチッ!!!
……………え………
鈍い痛みと共に私は地面に倒れ込んだ。後ろを見ると先程の女の人がスタンガンを持って立っている。
『……………』
その女の人の口を醜く歪ませて笑っている顔を見て私は悟った。
………………はめられた。
と。