それでも私は生きていく 【PSYCHO-PASS】
第2章 人民の自由は国家の強さに比例する
「っはぁ…はぁ……」
妙に冷たい汗を体全身から吹き出しながら目を覚ますと、紛れもなくそこは夢の景色などではなく、私の部屋だった
『おはようございます、今日は朝9時から勤務予定です。奏多琥珀さんのサイコパス値は60、気分転換をすることをオススメします。今日のお部屋はどうしますか?』
「気分転換も何も仕事だって…いつも通りでお願い」
そう言うとライブラリを参照して、モノトーン基調のホテルのような部屋がホログラムで出来上がる
私達の身の回りは常にホログラムやネットなど、昔の人々が映画で夢見たと言う道具で埋め尽くされていた
「シャワーを浴びるから、その間に朝食をおすすめカロリーで頼むね。テイストは和食で」
『かしこまりました』
お淑やかな…でもどこか無機質で構成されているのがわかるホロに頼み、シャワーを浴びる
「今日の細かな予定は?」
『本日は昼休憩で縢様と社食をとる約束、そして本日新人監視官の初出勤がございます』
「あぁ秀ちゃんとのご飯今日だっけ…それに新人が来るのかぁ…ギノと喧嘩しないといいなぁ」
久々に共に社食を食べる事を思い出し、半日はその為に頑張ろうと心に誓う
幼馴染である縢秀星、もとい秀ちゃんは幼い頃にサイコパスが異常値に達し離ればなれになった
しかし、運命とは面白いものでお互いこうやって同じ職場で働いているのだ…シビュラ様様ってところかな
新人に関しては、私の初めての後輩だ。先輩としてギノとギスギスしないようにフォローするつもりだ
…無論、私が新人と同意見ならだが
シャワーを浴び、ご飯を食べ軽く化粧をして普段の仕事着に着替える
ギノにはもう少し社会人らしい恰好をしろ、と怒られたりもするが私はこれが一番動きやすいので無視だ。彼もいつか言わなくなるだろう
「…行ってきます」
よれよれになった写真の中の三人の家族に挨拶をし、部屋を出た
「今日も一日楽しめますように」
おまじないの言葉を紡ぎながら