第3章 自由とは愚かなり。
それだけで十分じゃない。
『ありがとうテト』
「いえ」
せっかく部屋の中から出られたのに 私ったらバカね。両親のことはとても寂しいし 何があるか分からない怖さもあるけれど 私のそばにはいつもテトがいる。楽しまなきゃ損じゃない!
『ねぇテト パルス王国にはあとどのくらいで着くの?』
「今日の昼頃には着きますよ。お疲れだとは思いますが 出来る限り急ぎますので もうしばらくお待ち下さい」
『急がなくて良いわ』
「宜しいのですか?」
『えぇ。私 まだ馬に乗っていたいの!パルス王国に着いたら 自分で乗れるように練習しようかしら?』
そう言う私に テトはクスクスと笑いながら「お教えしますよ」と言ってくれた。それにありがとうと返し テトの腰に回した腕に少し力を込めた。
今まで我慢してきた自由な暮らし。出たあとから思えば きっと部屋の中も良かったのだろうけど…
『やっぱり外の空気の方が美味しいわ!そう思わない?テト!』
「はい。とても美味しゅうございます」
この澄みきった空気は外でしか味わえない。馬にだって 外でしか乗れない。
それなら外の自由な暮らしの方が何倍も良いじゃない!