第4章 強くなるために。
足が地面につかず 息がとても苦しい。
どうしてこんなことを…?私は彼に なにか無礼なことでもしてしまったの?なにか 気に触ることでもしたのかしら…。
「貴様 パルスの奴隷か。姫様を離しなさい。さもなくば貴様のその腕 使い物にならなくしてやる」
「…こいつには人質になってもらう。こいつを殺されたくなければそこを退け!!」
奴隷?アルスラーンの言っていた奴隷の1人…なのかしら。それなら 私を掴まえる理由にも納得がいくわ。
『う…っぅ…あ…』
そんな呑気なことを考えている場合でもないらしいわね。頭が朦朧としてきたわ…。
足を動かし 私の首を絞める腕を 無意味と分かりながらも外そうともがく。すると息が出来ていないことに気付いたのか 男の人は腕の力を少し緩ませ 私の足を地面へとつかせた。
『けほっ…ごほっ……っ…?』
「暴れるなよ。出来れば 殺したくない」
『あなた…』
上を見上げ私の瞳に映った男の人の顔は とても優しいものだった。
「姫様 しばしお待ちを!」
そう言い剣を抜いたテト。
『テト!まっ…』
「ごぼっ!!」
『……え?』
生暖かい液体が 私の目の前に散らばる。それが血だと理解するのに そう時間はかからなかった。