第4章 強くなるために。
ズルリと男の人の体が地面へと落ちていく。後ろを振り向くと そこには小さな小刀を持った男の人が立っていた。
「申し訳ありません!!わたくしどもの奴隷がとんだ無礼を致しました!どうかお許しを…!!」
『あ……あ…ぁ……』
「姫様っ!ご無事ですか!?」
テトが私のそばへ駆け寄り 倒れそうになる体を支えてくれた。そのおかげで私は倒れることなく テトに体を預けたままほうけてしまった。
「この!奴隷風情が!!お前のような家畜はいらん!!死んで姫に詫びろ!!」
『待って!!お願いっ…!!』
「姫様!?」
倒れ虫の息になってしまった男の人に駆け寄る。私の悲鳴のような叫びに テトと男の人は驚いている。
『お願いです。この人を許してあげて下さい。この者は 私を殺そうなどとしていません。その……わ 私がつまずいたところを助けて下さったのです!だからっ…!』
「姫様!?おやめ下さい!」
『嫌よ。この者を許してくれるまで 私が代わりに謝るわ。元はと言えば 私が彼に無神経に近付いたのが悪かったの』
私は地面に膝をつけ 目の前にいる奴隷の男の人の主人と思われる人に頭を下げた。
私なんかのために 尊い命を奪わないで欲しい。彼はきっとすごく優しい人なのよ。あの顔を見れば分かるわ。あの顔に 殺意なんてなかった…。