第4章 強くなるために。
『あの馬と共に 楽しく外を走りたいの!これでは 理由にならないかしら…?』
テトは目を丸くし 私を見つめながら瞳を瞬かせている。だけどそれはほんの数秒で テトはすぐに優しそうな顔をした。
「いえ 十分過ぎるお答えでございます」
『ふふっ…ありがとうテト』
でも その馬がいないことには何も始まらないわね。どうして居ないのかしら。
『あ…テト!あそこに人がいるわ。馬について少し聞いてみましょう』
「人?」
私は肩に大きな重そうな荷物を抱えた 少し薄汚れた服を着る男の人に近付いた。
『そこのあなた 少し聞きたいことがあるのだけど 良いかしら?』
「あ…?」
男の人は私を見下ろし 誰だとでも言うような目線を私に向けてくる。何だかとても新鮮ね。いつも私を見る目は 気遣うようなものばかりだもの。
「…っ…姫様!!なりません!」
『え?』
テトが珍しく声をはり 私たちの方へと走りよってくる。私はそれに少し驚き テトの方へと視線を向けた。
「姫…ああ そうか。お前がここに来たっていう噂の姫さんか…」
『きゃあ!?』
「姫様っ!!」
男の人は荷物を地面に落とすと その逞しい腕で私の首を絞めあげた。その凄まじい力に掴まれ そして十数センチはあろう身長差。