第4章 強くなるために。
そう。馬小屋をいくら探しても あの馬の姿がどこにもいなかったの。ここ以外にも馬小屋があるのかテトが探しに行ってくれたのだけど 王宮の馬小屋はここにしかないみたいで…。
『はぁ…どこに行ったのかしら』
小さくため息をつく私に テトは悲しそうにしながらも口を開いた。
「姫様 今日のところは騎馬部隊の馬を1頭お借りしましょう。あの馬については 私があとで色々と聞いてみますゆえ」
『…ありがとうテト。でも私は 騎馬部隊さんたちの馬には乗れないわ』
「なぜですか?あの馬は力はありますが 速さに劣っています。騎馬部隊の馬は力も速さもございますし 乗馬をするにはうってつけかと…」
確かにそうかもしれないわね。きっとここにいる馬は 色んな人を乗せ 色んなところを走り経験を積んできた馬ばかりなんだわ。死を隣合わせにし 安全に荷物を運んでいたあの馬とは天と地の差があるはず。
でも だからこそなのかもしれないわね…。
『私のように戦にでもしない女が この馬たちに乗って良いわけがないわ。それに私…』
昨日 私を乗せ歩いてくれたあの馬を思い出す。
あの馬はとても嬉しそうに外を歩いていた。きっとあの馬も 私と同じように外に憧れていたのよ。