第3章 自由とは愚かなり。
確かにアルスラーンの見た目は女の子らしいといえばらしいけれど 性別を間違えるほど私はバカじゃないわ。それに アルスラーンに失礼だもの。
私は少しムッとさせながら アルスラーンを見つめた。そうすると アルスラーンは深いため息をつき 頭を抱えてしまった。
「…っ…はぁ…マリネはもう少し危機感をもってくれ。私は心配だ」
『アルスラーンったら テトと同じことを言うのね。私はこれでも危機感を持っているほうだと思うのだけど…』
不思議そうに私が呟けば アルスラーンはもう一度ため息をつき 眉をさげ困り顔のまま おかしそうに声をあげて笑った。
「とりあえず 私はもう部屋へ帰るとしよう。マリネの部屋に休むという案は遠慮しておく」
『そう?残念だわ…。また今度 機会があれば休みに来てちょうだい。待ってるわ』
「そ…そうだな。考えておこう。じゃあ また明日」
『えぇ また明日。おやすみなさい』
ニコリと笑みを向けると アルスラーンは嬉しそうに顔を和ませ 部屋を出ていった。私はそれを見送ると ベッドに腰掛けた。
違う部屋。違う匂い。違う景色。違う気配。違う立場。何もかもが パルシマ王国にいた時と違うのね。