第3章 自由とは愚かなり。
アルスラーンは急に声をあげ その顔を青ざめさせている。さっきまでの笑みは嘘のように消えていた。
何か大事なことでも思い出したのかしら。
「…明日もヴァフリーズの稽古があるのを すっかり忘れていた」
『ええ!?大変じゃない!もう寝ないとよね。あ…そうだわ。この部屋で休んだらどう?』
「……え!?」
『ベッドも大きいし 今から自分の部屋に帰るのも手間でしょう?ここならすぐに寝れるわ』
私はアルスラーンの手を取り立ち上がらせると ベッドまで近付いた。2人で寝ても十分広そうな とても大きいベッド。それなのに アルスラーンはなぜか顔を赤くして戸惑っている。
どうしてかしら。とてもいい考えだと思ったのだけど アルスラーンを困らせてるみたい…。気を使う必要なんてないのに。
『…もしかして 私と一緒に寝るのはイヤだったかしら?それなら私は適当な場所で休むわ。アルスラーンは遠慮しないで良いのよ』
「いや違っ…!」
『違わないわ。アルスラーンはこの王宮の人なのよ?遠慮してどうするのよ。友だちなら 私に気を使わないで。ね?』
「そ…そうではない!私は…その…仮にも男なのだぞ!?分かって言っているのか!?」
『分かってるわよ?』