第3章 自由とは愚かなり。
パルシマ王国から出たからこそ知れたことは多い。馬に乗り 外の空気を吸い 友だちも出来たわ。でも 外に出たことが全て良いというわけでもないわ…。私が王国について無知だったことを思い知らされたもの。
『…どうして私は 閉じ込められていたのかしら。どうして私は ここにいるの?分からない…。どうして何も……分からないのよ…っ…!』
涙が私の頬を伝い 服へと落ちていく。
部屋へ閉じ込められて淋しいときも泣かなかったというのに どうして今はこんなにも悲しいの…?胸が締め付けられるように苦しいわ。もうイヤ…。
自由って 楽しいことばかりじゃないのね。外に出れば……部屋から出られれば 毎日が楽しいと思っていたわ。たとえ違う国に行こうとも テトがいれば大丈夫と思っていたのに…。
実際は違ったわ。出なかった方が良かったんじゃないかって そう思うの。私は今までずっと 守られて生きてたのね。辛いことから心を守られていたのね…。ずっとずっと 甘えてきてたんだわ。
『……強く…なりたい…』
そのためには 色々なことを学ばないといけないわ。さっそく明日から頑張るわよ!ここまで来たのなら もうやるしかないわ!今さらパルシマ王国に戻るなんて甘えは聞かない。それに私……
『…アルスラーンと 離れたくない』
そう思ってしまったんだから…。