第3章 自由とは愚かなり。
自嘲気味た笑みが自然と漏れた。
こんな私がパルシマ王国の姫だなんて 本当におかしいわ。きっと私なんかより テトの方が国のことを知っている。
瞳が熱い。今にも溢れそうな涙を必死にこらえ 私は服をギュッと握り締めた。そんな私の手に アルスラーン様の手が重なった。
『あ…ぇと…』
「姫と私は同じだ」
『え?』
同じ?何が…なのかしら。
「姫にも 私と同じように分からないことがあるのだな。こういうのは何だが 悩んでいるのが私だけではないと分かって安心した」
そういうとアルスラーン様は私の両手を握り締め 優しく微笑んだ。その笑みに 私の瞳に浮かんでいた涙は引っ込み 顔に熱が集まった。
「……姫?顔が赤いようだが…」
『きっ…気のせいです』
「そうか?なら良いが…」
アルスラーン様は少し首を傾げながら 私の手から自分の手をゆっくりと離した。それにホッと安堵する。
どうしてこんなに心臓が騒がしいの?顔の熱も一向に冷めてくれないわ…。何か変な病にでもかかったのかしら。でも こんな病はテトとの勉学で習ったことがない。なら大丈夫なのかしら。
「…そう言えば 姫は剣を使えるのか?」