第3章 自由とは愚かなり。
『あ…そう言えば アルスラーン様かダリューンさん。どちらか私の部屋をご存知ですか?』
「ああ。姫の部屋ならここだよ」
アルスラーン様はすぐ横の扉を指さした。
すぐそこだったのね。でも この王宮はとても広そうだから 探検なんてものをしたらあっという間に迷ってしまいそうだわ。気を付けないと…。
『ありがとうございます。せっかくですし 私の部屋でお話をしましょうか』
「良いのか?」
『…?元々このお部屋はアルスラーン様たちのもの。遠慮なんてする必要はありませんよ』
私がおかしそうに笑うと アルスラーン様とダリューンさんは少し目を見開き 同じように笑ってくれた。
◆◇◆
その後ダリューンさんと別れた私たちは 用意された豪華な部屋へ入り お互いについてたくさんの話をしていた。
『そ…それで城壁から飛び降りたのですか?』
「ああ。あの時は生きた心地がしなかったよ。あはは」
アルスラーン様は思い出したかのように苦笑を浮かべている。聞けば昔 捕虜というものに人質にされ振り回されたことがあるという。その時に城壁から飛び降り 水の中へ落ちたらしい。
アルスラーン様は笑っているけれど 私が見た城壁は本当に高かったわ。あそこから落ちただなんて…。