第3章 自由とは愚かなり。
肩を落とす私に気付いたのか テトが私に近づき笑顔を向けてくれる。それだけで私の心は落ち着く。
「姫様 今日はお休み下さい。心配だとは思いますが 何かあればテトがすぐに向かいます」
『えぇ…。ありがとう テト』
テトがそういうのなら 今日はもう休むことにするわ。この王宮や パルス王国については明日から色々と知っていけば良いのだから。
私はテトに別れを告げ 侍女の人の後ろを静かに付いて行った。会話なんてものはなくて 歩くたびにコツコツとなる音が大きく聞こえる。
とても気まずいわ…。侍女の人は私と話をしたくないのかしら?それとも こう言った場合は私から声をかけるのが普通なの?
悶々と考えを巡らせていると 目の前の侍女が急に立ち止まり 頭を下げた。
『…アルスラーン様?』
扉の横の壁に背を預けていたアルスラーン様は 私たちに気がつくとパアッと顔を明るくし こちらに近付いてきた。
どうしてアルスラーン様がここにいるのかしら。私に何か用があるの?
アルスラーン様は私を案内してくれていた侍女に「下がって良いぞ」と言う。侍女はその言葉に了承すると静かにその場を離れて行った。
私は訳がわからず アルスラーン様をポカンとしながら見つめていた。