第3章 自由とは愚かなり。
私の前にいる3人と言うのは パルス王国の王と王妃。そしてその子供である王子のこと。豪華なイスに座る彼らに緊張で手が震える。
「…余はアンドラゴラス。マリネ姫 顔をあげよ」
そう言われ 私は下げていた頭をあげた。
パルス王国の王 アンドラゴラス。険しい表情と鍛え上げられた肉体に 情けなくも思わず身が縮まってしまった。
アンドラゴラス王は私のことをジーッと見つめるだけで 特に何を言うでもない。どうしようかと私が目を泳がせていると その場に凛とした声が響いた。
「私はタハミーネ。パルス王国によく来てくれました。長旅でさぞやお疲れでしょう」
『い いえ。私は馬に乗っていただけですので…。ご心配ありがとうございます』
すごく綺麗な人…。それなのに なんて冷たい瞳をしているのかしら。私を心配する言葉をかけているのに まるで気持ちがこもっていない。
タハミーネ王妃も なぜかアンドラゴラス王と同じく私のことを見つめてくる。どうしてかしら?
「…姫のその瞳は元からなのですか?」
『はい。生まれつきです』
「そう…。とても綺麗ですね」
『ありがとうございます』
王と王妃は私の瞳が気になっていたのね。理由がわかって安心したわ。
誰にも知られぬように 私は心の中でホッと安堵した。