第3章 自由とは愚かなり。
私は深いため息をすると テトに向かい微笑んだ。テトはそんな私に目を見開く。
『何か理由があるのよね?』
「…はい」
『そう。なら仕方ないわ』
「怒らないのですか?」
『私とテトの仲じゃない。そんなことで怒るわけないじゃない』
「ふふっ」と笑えば テトは瞳にうっすらと涙を浮かべる。テトったら泣き虫ね。全く…。
テトにもきっと事情があるのよ。それを叱る資格なんて私にはないわ。気になるからって 興味本位で聞いていいことじゃない。
私は少し離れたところでずっと立ち止まってくれていたヴァフリーズさんに駆け寄った。
『ごめんなさい ヴァフリーズさん。手間を取らせてしまいましたね』
「とんでもございません。さぁ 王宮に急ぎますぞ」
そのとき見せたヴァフリーズさんの笑みはとても嬉しそうで 私もそんな彼の笑顔を見て思わず顔を和ませていた。
◆◇◆
『お初にお目にかかります。パルシマ王国から来ました マリネと申します』
私は目の前の3人に頭を下げ服の裾を掴むと少し上にあげ テトから教えてもらったお礼をした。テトによると これが姫のお辞儀の仕方らしいわ。
テトは私の後ろで床に片膝をつけながら頭を下げている。私とはお辞儀の仕方が違うのね…。