第3章 華の名前
「悲しいのか?」
という声が降ってきてラーラは笑うのも泣くのもやめた。
そしてすんなり立ち上がった。
その手には剣が握られている。
「悲しい?どうして?」
「いや、悲しんでるように聞こえたから。」
「分かったわ。あなた、強い?」
「お、俺?」
答えに迷った。
どうだろう。
こんなときルフィなら自分を強いって言えるんだろうな。
「分かんね。俺は自分の強さが分からない。」
「じゃあ、殺されても文句ないね。」
「え…。」
突然ラーラが剣を突き出してきた。
サボは間一髪のところで避けきった。
「いきなり何す……」
サボは言葉を切った。
可笑しい。
ラーラの瞳には何の感情もうかんでいない。
「私を殺せばいい。」
「何言ってんだ。俺はそんなことしねェよ。」
「弱い。あんたは弱い。」
「そうかもしれねェ!だがお前一体…」
ラーラは一瞬顔を歪めた。
それは恐怖かもしれない。
サボはゆっくりと近寄った。
ラーラは逃げようともしない。
「お前は何者だ。」
「リオ一族戦士。ラーラ・リオ・シルヴェスター。」
「何故殺さないといけないんだ?」
「私は生きてちゃいけない。私は不要だから。」
ラーラの口から出た言葉があまりにも悲しすぎた。
自分は生きていてはいけないなんて思っている。
そんなことどの人間にも当てはまらない。
どんな人間も生きる意味を持っている。
「そんなことねェ。お前がどんな生まれだろうと誰も否定できない。」
「うるさい!初対面のくせにずけずけ言うな!」
「あ、悪い…。」
「私は否定されるんじゃない!元からいけないのよ!!」
私に課せられた運命が残酷すぎる。
最初から産まれてはいけない。
私は要らない。