第3章 華の名前
「私を…。」
「ん?」
「私を殺して。」
「は…。」
サボは耳を疑った。
殺せ…だと?
「何言ってんだよ。」
「私は生きてちゃいけないの!!」
「だからそれは……」
「もういい!!」
ラーラは立ち上がった。
そしてサボを見下ろした。
その琥珀色の瞳には殺意が浮かんでいる。
「さようなら、死んで。」
「わっ!おい!!」
ラーラは剣を振り下ろす。
だが、サボも黙っているわけではない。
必死に避けている。
剣の先がサボの頬を切りつけた。
「ッ・・・!」
「・・・。」
相互目を合わせる。
だが、サボは何か思いついたように少し笑った。
「俺がお前に勝ったらお前はもらう。」
「フザけるな。勝ったら殺せ。」
「それは勝者が決めんだよ。」
「!!」
一瞬だった。
ラーラの剣が宙を舞った。
ラーラ自身はサボの手によって壁際に押さえつけられた。
「敵に情はいらない!殺せ!!」
「だから言ってんだろ?お前をどうするかは俺が決める。」
「認めない!!」
ラーラは必死にもがく。
だがサボには敵わない。
殺して欲しい。
それが目的だったのに・・・。
「お前を革命軍に入れる。」
「嫌!!」
「お前は負けたんだぜ?俺の言うこと聞くのが当然だろ?」
「お願いだから…殺してよ。」
「ヤダね。」
ラーラは月力は使わないと心に決めていた。
月力を封印すると・・・。
「私は死にたいの……」
「おい!」
「……」
バタンと地面に崩れ落ちたラーラ。
サボはすんでのところで抱きとめた。
「あっぶね。何だよ、いきなり気絶しやがって。」
ラーラの体が熱い。
サボはすぐにそれに気づいた。
「こいつ……」
熱出してやがる!
サボはラーラを抱えると船に走った。
ラーラは苦しそうに息をする。
「人騒がせな奴だ。」
「ハ…ァ……殺せ…」
「んなことするかバーカ。」
お前はもう俺のモノなんだよ・・・。