第7章 華の炎
その声が聞こえて、痛みがないことに気づいた。
ゆっくりと目を開く。
そこにいたのは一人の青年だった。
オレンジ色の帽子を被って、顔にソバカスのある青年・・・。
アーシャの姿はどこにもなかった。
「あ、…れ……?」
「大丈夫か?」
「ここって…」
「あ、さっきの場所から運んだ。」
ラーラは慌てて起き上がろうとした。
だが脇腹に鋭い痛みが走った。
顔を痛みで歪めた。
「おい、無理するな。」
「あいつに報復してやる…。」
「さっきの海軍は俺が追いやった。」
「なんっ…で……」
私を助けたの?
何の関係もないはずなのに。
どうして?
「俺はお前みたいな奴を放っておけないからな。」
「あ、ありがとう。」
「いいんだって!」
ニッと優しく笑うエース。
思わずラーラも笑う。
包容力が滲み出ている。
その笑顔は人を安心させるんだ。
「名前…は?俺の名はエース!」
「ラーラ。ラーラ・リオ・シルヴェスター。」
「ラーラか、いい名前だな!」
「本当に…ありがとう。」
あいつに殺されるのは嫌だった。
本当に心から感謝してる。
そう思った瞬間に目頭が熱くなった。
「おいおい…何で泣くんだよ。」
「うぅぅ…」
「怖かったのか?」
「…うん……」
「そうか。」
エースはそっとラーラを抱き寄せた。
その温かさがラーラの心に安らぎを与えてくれる。
安心に包まれて泣いてしまった。
「大丈夫だ。」
「う…ぅぅ」
「もう泣くなって。」
出会ってくれて感謝するよ・・・