第6章 華の声
_早く死ねよ_
煩い。
_お前は生きてちゃいけないんだよ_
知ってる。
_じゃあさっさと死ね_
まだやることが残ってる。
悪いけど自分で死ぬのはまだよ。
誰かに殺されるのなら別だけど。
_またかよ_
もう黙れば?
_テメェが死んだらな_
琥珀の涙・・・私を見くびらないで。
_お前は調子が狂う。完全にお前の意思を乗っ取れない_
当たり前よ私を誰だと思っているの?
_お前は”アイツ”に似ている_
アイツって?
琥珀の涙の幻影に魘された。
死に導くのは間違いなく琥珀の涙だ。
だが捨てられない。
捨てたら何かを見失う気がするから。
なんでだろう。
何を見失うというのだろうか。
ラーラは琥珀の涙を鞘から抜き取った。
月光を浴びて輝く剣。
柄の一番上に大きな琥珀が埋め込まれている。
「アーシャの翡翠の血も翡翠が埋まっているのかな…。」
いいえ、アーシャのじゃないわ。
この琥珀の涙だって私のものじゃない。
少なくとも私には合っていない気がする。
私の持つべき剣は他にある。
なんとなくだがそんな気がするのだ。
「琥珀、翡翠ときたら次は何だろう。」
ラーラはそっと琥珀の涙を鞘にしまった。
まだ心を喰われていない。
ラーラはあらためて確信した。
この剣の持つ恐ろしい力と呪いを。
抗うことができるのはラーラだからなのだろうか。
それとも他に理由が・・・。
「考えるより行動に移したほうが…。」
ここを出るにはサボをなんとかしなくては。
きっと引き止める。
そんなことをされれば不可能だ。
じゃあどうする?