第6章 華の声
「あなたは違う。」
愛してほしくない。
愛なんて、嫌い。
どうやったって信じられない。
愛ほど壊れやすいものはないからだ。
「あなただけが嫌いなんじゃない。みんな同じ。」
あなただけを特別視できない。
愛されるだけ愛されて、愛さないのはゼイタクなの?
望まない愛さえも拒んでしまう。
それも・・・。
どんなことがあっても感情に負けたら終わり。
愛さないでって思うのはいけないの?
「もう、分からないや。」
自分はどこで何を間違えたんだろう。
ここにいては目的は果たせない。
さっさとここを出よう。
私の気持ちが変わる前に・・・。
離れられなくなる前に。
愛に縛られる前に。
「未練が残るなら、消し去ってから出る。」
私は出会わなかったことにしてしまおう。
別にいい。
後悔しない。
「短かったけどもうすぐここともサヨナラってことね。」
自分で言った言葉が今まで以上に辛く感じた。
初めて仲間になった。
初めて親友ができた。
そして、初めて異性に愛された。
全てなくなるのは寂しいの?
寂しいなんて思ってたら進めない。
だからもう少しだけ待とう。
「もう少しだけ…」
結果が散々でもいい。
それが運命なら受け入れる。
乗り越えられる自信がある。
それでもいいのならまだここにいよう。
時期が来るまでしばらくは・・・。
「さ、仕事仕事!」
振り払おうと自分に言い聞かせた。
何も後を引くような思いが残らないわけじゃないけど。
私の決意が決まるまで。
あぁ、時間がほしい。
全部全部果たせる時間が。
「エリィアーノと対決しても今はまだ…」
勝てない。
執念の中で平静を保っていられることなんてあいつ以外できない。
「但し、私を怒らせるようなことをしたら報復は必ず受けてもらう。誰であろうとね。」
不敵に笑うラーラ。
刻まれた意思の中に、ラーラは燃えていた。
全てを終わらせるためにエリィアーノを倒す。
心の奥に残ったエリィアーノの声をこだまさせる。
<キミは僕と一緒に死ぬんだよ>
「誰が貴様と一緒に死ぬか!私が殺してやるからな。」