第6章 華の声
「どれだけ愛してるって言ったって伝わらないの」
「この世のどこに真実はあるの?」
「どこを探せばそれは見つかるの?」
「愛されることを許されない少女はどこかへと消えて行く」
「まるで流れ星のように儚く去っていくの」
「誰かに愛でてもらえるわけでもなく…」
一人で寂しそうに歌うラーラ。
過ぎ去った過去を過去にできない。
笑って語ることもできない。
忘れてしまいたくても許されない。
自ら引いた引き金なのだから。
「それでも後悔しないわ。」
いつもそう。
自分がしたことを悔いたことがない。
全て正しいと思うから。
「いつでも自由でいたいから…」
「お、ラーラ!なーにしてんだ?」
「何が?」
「だから何してんのかなって。」
「別にいいじゃん何でも。」
急に突っぱねるラーラ。
サボは恋したことを素直に話すことにしたのだ。
「私は仕事に戻るの。ちゃんとしなさいよ!」
「あ、待て!」
「何よ。」
「いや、その…」
「何?用がないなら行くけど。」
「好きだ!」
「は…?」
いきなり何を言い出すのだろう。
ラーラ1ワケも分からずサボを見つめた。
何が好き?
「何言ってるのか…。」
「お前が好きだ。」
「馬鹿じゃないの?」
「バカじゃねェ!本気だ!」
「だとしたらマジの馬鹿よ。」
頭可笑しいんじゃない?
どっかにぶつけた?
私を好きになるなんて可笑しいわ。
「拒否るけどいい?」
「は?何でだよ!」
「私は誰も愛さない。恋愛ゴッコなら他をあたってちょうだい。」
「バカはお前だ!」
「何なのよ。」
「ゴッコじゃねェ。マジの恋だ!」
「私はっ…、あなたを好きになんてならないわ。」
冷たく言い放たれた。
だが何故かラーラの瞳に傷ついた色をしていた。
どうしてそんな目すんだ?
分からねェよ。
「恋とか愛とか無駄に傷つくだけ。私はそんなもの信じない。」
「でも俺の気持ちは変わらないからな。」
「勝手に破滅すればいい。私に期待しないでね。」
ラーラは立ち去った。
すれ違いの2人。
分かち合える日は来るだろうか。