第5章 華の唄
お前のせいだ。
_私…?_
お前は間違っている。
_いいえ、正しいのよ_
我々が滅びる理由なんかどこにもなかったはずだ。
_あんなことがあったから私はあなたたちを殺したのよ!!_
あれは事故だと何度も言っただろう。
_故意にしても事故にしてもあってはならなかったはずよ_
ならばお前も死ねばよかっただろう!
_翡翠の血が残っている限り私は生きなくてはならなかった_
言い訳だ!お前は生きたかったんだろう!
_正反対よ!私は死にたいの…_
ならばここでお前の命を奪ってやろうか?
道連れにしてやろう。
_私には使命がある!死ねないわ_
いいや、ここで殺す。
「ッは!!」
汗だくになって目覚めた。
ラーラは息を整えようと深呼吸した。
時計の時間は夜中の1時。
ラーラは額の汗を拭った。
「何…で今更あんな夢……」
夢で襲い掛かって来た男は父親だ。
グレーの瞳をギラつかせて血に飢えていた。
まるで相手にしているのが娘ではない誰かのように。
「…ハァ…ちょっと外に出よう……」
ラーラは静かに扉を開けて外へ出た。
夜風がラーラの髪を靡く。
銀色の髪は美しく輝いた。
そして初日に夕日を見たバルコニーに足を運んだ。
「満月…」
そういえば故郷の<蒼の森>と呼ばれた丘でもこんな月が見えたっけ?
リオ一族を滅ぼしたときも月は悲しく煌めいていた。
まるでラーラが手をかけて死んでいく者たちを憂えるとでもいうように。
正しいことと認めてはくれない。
誰もそれを批判する。
「…………辛いのは…私よ……。」
誰にも分かってもらえないんだわ。
一生嫌われるのよ。
あぁ、リオ一族に生まれてなかったらこんなことにはならずに済んだのに。
「生まれて…こなければよかった……」
「そんなこと言うな!」
「!!」
振り向いたそこにサボがいた。