第4章 華の言葉
重そうな扉の前でサボがノックした。
「入れ。」
「失礼します!」
サボが扉を開いた。
ラーラは警戒心を一層高めている。
そのせいで顔は引き攣っていた。
「話は聞いている。」
「ラーラ・リオ・シルヴェスター。リオ一族戦士よ。」
「サボから大体のことは聞いた。」
「私は完全に革命軍じゃないからそのつもりで。」
不躾に突っ撥ねるラーラ。
サボは顔を歪めた。
まだ仲間であることを認めないラーラに。
だがラーラはこう続けた。
「私の旅の目的は死だった。ここにいれば戦いに行くことが出来る。そうすれば強い人に殺されることができるわ。」
「そういうことを止めるのが我々の目的だ。」
「私を止めてみなさい!不可能よ。」
ラーラは琥珀色の瞳をドラゴンに向けた。
ドラゴンはその視線を受け止めている。
サボにはそれができない。
心を見透かされているような感覚はどうしても拭えないからだ。
「いいわ。革命軍に入ってあげる。」
「お前なぁ!」
「サボ、お前が全責任を取るというのなら許可しよう。」
「俺?」
「こいつを死なせたらそれなりの責任は取ってもらう。」
「あぁ、それなら。はい。」
私を死なせないですって?
死にたがりの女を止めるのは不可能よ。
でも、自殺はしない。
負ける気がして嫌だ。
「自害はしない。」
「そうであることを望むがな。」
「行こうか、ラーラ。」
「あ、そうだ。命令されるの嫌いだから覚えといてちょうだい。」
如何にも嫌いそうだ。
ラーラに”従う”は合わない。
狼のように自由に動き回るだろう。
サボ以上に自由に。
ドラゴンの部屋を後にした2人。
「俺仕事溜まって…るからコアラにいろんなこと聞いとけ!」
「どこにいるの?」
「そこら辺捜せばいるだろ。」
サボは逃げるように走って行ってしまった。
これ以上あいつの視線は耐えられねェよ。
マジで心覗いてんじゃねェか?
「変な奴…。あ、あなた!」
「ん?あ、ラーラちゃんだっけ?」
「そう。コアラでいいよね。」
「うん、いいよ。」
「サボがコアラにここでのこと聞いとけって言ったから。」
「全く!サボ君また放棄してるじゃん!」
コアラは知っているだろうか。
ラーラがリオ一族だということを。