第3章 華の名前
急に豹変したラーラの態度に言葉を失くした。
ラーラはキレている。
何故”仲間”というものを嫌うのか・・・。
だがここで引き下がったら意味がない。
「何で仲間が嫌いなんだ?」
「感情でメチャクチャになりたくない。もう、大切なものを作ってそれに手をかけるのは嫌。」
「大切なものに手をかける?」
「リオ一族が何故滅びたか知ってる?」
それは知られていないし情報も持っていない。
サボは知らなかった。
「私がね…みんな殺したの。」
「!!」
思いがけない発言でサボは硬直した。
ラーラは家族でさえ殺したということになる。
口にしたことがあまりにも残虐すぎる。
「何言ってんだ…よ。」
「この月力で世界が滅びる前に手を打ったのよ。」
「だからって…」
「悲しくなかったわ。私は役に立つことをしたと思ってる。」
ラーラの琥珀の瞳は残酷なくらい光っている。
悲しくなかった。
それが正しいことだから。
私はあれでよかったと思ってる。
「私がしたことに後悔はないわ。」
「……。」
「だからさ、殺されたくなかったら私を解放して。」
「お前みたいな危険な奴を外に出せるわけがないだろ!!?」
「ッ…」
「家族殺して何とも思わないだと!?」
「口出さないで。私の問題よ。」
ラーラは手に力を篭めた。
私のしたことは正しかったのよ!!
私たち一族は危険なの!
生きてたらいつか世界を消し去ってしまう!
だからその前に消えてもらったのよ!
一族に!!
「とにかくお前は危険だ。」
「あなたたちも危険になるってことよ。」
「俺たちがお前を制御する。」
「私は犬じゃない!飼い慣らすみたいに言わないで!!」
サボは顔を歪めた。
聞き入れないラーラに腹が立ってきた。
このまま脅してやろうか…。
「私を殺して!!そうすればすぐに済むのよ!!」
「俺は男だ。」
「だから何?私が屈するとでも?」
「お前をオンナにしてやることだってできるんだぜ?」
サボは口元に薄っすらと笑みを浮かべた。
ラーラは目を見開いている。
そんなことを言われたのは初めてなんだろう。
「私に脅しは無用。」
「だったらいいのか?」
「死ね。…いや、殺してやる。」