第3章 華の名前
あぁ、この感覚。
2年前と同じ・・・。
私は負けたのに助けられた。
炎のような人に・・・。
「っ・・・はぁっ!!!」
「お、起きたな。」
「は…ぁ……ここは…?」
「革命軍の船だ。」
「どれくらい…」
「ん?」
「この船は出港してどれくらい経った!?」
「6時間だ。」
そんなに・・・。
もう戻れない。
ラーラはサボを睨みつけた。
猫のように鋭い目に射抜かれてサボは身を引いた。
「私の剣は?」
「お前に渡したら怖いからな。信用できるまで渡さねェ。」
「フザけないで。」
「お前が悪いんだ。」
サボはゆっくりとラーラのいるベッドに近寄る。
ラーラは身構えた。
だがサボは一定の距離を保って止まった。
「そういや名乗ってなかったな。俺はサボだ。」
「…聞いてないし知りたくもない。」
「あぁそうだ。恨むなよ?」
「は?」
「さっきお前の背中見ちまったんだ。そしたら肩に火の模様があったんだが…。」
「教える義理もない。」
「その火でAを象ってんのは…。」
もしかしたらって思ったんだ。
火でAつったらアイツしかいねェ。
死んだ兄弟エースしか・・・。
「2年前…死んだ恩人のイニシャルよ。エースっていうの。」
「やっぱりか。」
「何故分かった?」
「エースは俺の兄弟だからな。」
「なっ…」
エースから聞いたけど、弟と死んだ兄弟がいるって・・・。
弟は麦わらだったし・・・。
「エースが言ってた死んだ兄弟ってまさか…」
「俺だろうな。」
なんて偶然だろうか。
こんな風にエースの兄弟に会うとは思わなかった。
「少しは俺を信用するか?」
「分からない。でも、兄弟ならば…」
「間違いない。」
「だったら私を解放して。」
「おいおい、俺はお前を捕らえているわけじゃねェぜ?」
ただ治療してやっただけだ。
ラーラはサボを見つめた。
嘘を言っているわけじゃない。
「私は誰の仲間にもならない。」
「何言ってる。もうすでにお前は革命軍の一員だ。」
「勝手なことしないで!」
「んなこと言われてもなぁ。」
パシッ…
ラーラは手を振り下ろした。
サボの頬が赤く染まった。
「いい加減にしろよ、私に殺られたい?”力”を使えば殺れるんだよ?」