第1章 高校1年生編
彼女は、“そんなの決まってるじゃない”と笑いながら話してくれた。
「すまない、気分を悪くしただろう。」
『別にそんなことないよ?そういえば私の名前を教えてなかったね。私は浅葱誠っていうの。呼び方はお好みで!1年間よろしくね!』
「こちらこそよろしく頼む、浅葱。」
彼女ははっとした表情になり、
『うちは君、堅いね。もしかして新入生代表だから緊張してるの?』
真剣な表情で聞いてくるものだから思わず吹き出してしまった。
「・・いや、元々こういう性格なんだ。」
そのあとも少し彼女とたわいない話をしていたが、彼女の携帯が2人だけの教室に鳴り響いた。
『うちは君、ゴメンね。友達が学校着いたから受付のところまで迎えに来いって連絡が来ちゃった。』
「行ってくるといい。俺のことは気にするな。」
浅葱は今までに関わってきた女の子と違い、表情が面白いくらいコロコロと変わる。
いままでのタイプからすると、事務的に必要最低限の事しか話さないか、俺の話を聞かず、一方的に自分のことしか話さないかの2つに分けられる。
しかし、彼女はどちらのタイプでもなかった。
自分の話もするが、自然に相手にも話すタイミングを与えてくれ、とても話しやすかった。
しかもまだ会って数分の、失礼な態度をとってしまった俺に、申し訳なさそうな顔をして謝罪してくる浅葱には好感を覚える。
浅葱が出ていってからはすぐに、他の生徒が何人か教室に入ってきた。
俺と浅葱しかいなかった教室は次第に賑やかになっていった。
俺は周りの話声をBGMに、読もうとしていた本にようやく手をつけた。