第1章 高校1年生編
高校1年の4月。
俺、うちはイタチは初めての恋をした。
入学式当日、俺は新入生の誰よりも早く登校した。
受付を済ませ、紅白の胸花をつけて自分のクラスを確認し、“1-1”の教室を探す。
「・・此処か。」
ガラッ、と音を立てて教室に入る。
もちろん教室には誰もいない。
教室前面の黒板には“入学おめでとう”という文字と1枚の紙が貼られていた。
どうらや黒板に貼られていた紙は座席表のようだ。
自分の席を確認し、席に座る。
廊下側の前から4番目の席だったが特に問題はなさそうだ。
「そうだ、代表挨拶をもう一度確認しておこう。」
特にやることも無かった俺は、入学式で行う新入生代表挨拶の挨拶文に目を通し始めた。
しばらくすると、ガラッと教室の扉が開く音がした。
少し気にはなったが、後ろの扉から入ってきたためどのような人物かわからない。
どうやら入ってきた生徒も黒板の座席表に気付いたようだ。
迷うことなく、足は黒板へと向かっていった。
後姿からして女子生徒のようだ。
長い黒髪は一つに結われている。
身長は150㎝くらいだろうか、今時には珍しく小柄な印象を受ける。
(あまりジロジロと見るのもよくないな・・。)
そう思い、俺は視線を挨拶文に戻した。
座席表を確認したらしい、足音がこちらに近づいてくる。
視線はそのままに、音と気配で相手の動きに意識を集中する。
どうやら、彼女の席は俺の席の左隣のようだ。
荷物を机に置き、『ふぅ・・』と一息ついている。
「(人も来たことだし、持ってきた本でも読むか。)」
そう思い、新入生代表挨拶の紙を片付けていると、隣から視線を感じた。
『ねぇ、あなたが新入生代表なの?』
明るい声が隣の席から飛んできた。
顔を向けると、さっきは後姿だけだったが、ようやく彼女の顔を確認することができた。
「そうだ、俺が今年の新入生代表だ。」
そう答えると彼女は、
『そうなんだ!!がんばってね、うちは君!自分の席から応援してるね!』
と、はにかんだ笑顔で返してくれた。
「・・なんで俺の名前を?」
中学時代、他校の女子生徒も俺の名前を知っていて、よく弓道の試合前にも呼び止められて迷惑だった思い出があったため、少し警戒して彼女に聞くと、
『え?だって前の座席表にみんなの名前が書いてあるじゃない。』